機器【device】

  機械という言葉が、本来は機器からスタートしていたという歴史的事実から、「機」と「器」は、近代の機械工学の進化形態として捉えることができる。「機」は機織りを意味し、「器」は犬の肉を盛った皿であり、後漢書では、内に盛るものが器であり、外に盛るものが械と解釈されている。楽器という説もある。いずれにせよ、文明を示すものとして、機械がより精緻で、制御や機能の体型が自動化されたり、信号での通信による情報処理技術までをも反映できることが、機械の進化形であると見なすことができる。人類を飢えと寒さから守ることが文明の根本原則であるとするなら、まさしく、飢えをしのぐための食物の器という道具であり、寒さに対する衣料素材を織る機械である。文明とは機器=ハードウェアそのものと言うことができる。機械から機器という歴史性が現代文明そのものを表していることになる。そこで、機械と人間は、マン・マシン・システムとしてその最適な関係のデザインが求められたが、今では、機器と人間は、インターフェースという機器と人間との界面での親和性である。デザインはそのあり方を求められることになるわけだ。装備化や装置化という機械性よりも、携帯化や装着化という機器性がデザイン設計に求められる。つまり、機器システムとシステム機器の違いも、そうしたデザインでは、再吟味が必要である。機器システムは、使用性能と人間との関係が、社会的あるいは時代的にどれだけの親和性があるかを意図すべきである。また、システム機器は、社会性や時代性を空間的な存在性の関係軸において、人間の関係機能を意図するべきだと考える。さらに、機器の機構技術や実装技術においてはアナログ性とデジタル性が、機器性能や機器機能を決定する要素や要因になっている。ヒューマン・センタード・デザイン(人間中心主義設計)の対象としての機器は、すでに、道具・家具・機械・装置などを統合する革新的な技術学や設計学そのものが学際的に一新されなければならないと考える。

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