かたち【Form】

  一般的には、視覚的な対象の外観全体を概念的に呼ぶ言葉である。概念として、「かたち」というかたちが存在しているというものではない。かたちというかたちは存在しない。非存在であるというものを視覚認識は決してできない。にもかかわらず、この言葉が意味する領域は具体性と抽象性、実体性と仮想性など、相反する事象全てを言い表す。それは、概念的な外観を視覚的に捉える総称として、むしろ、総括的に意識的な認識として、外観的なイメージまでをも、抽象的に捉える言葉になっている。概念的かつ知覚認識の対象としての外観から、観念的かつ意識認識の印象感までを総称していると考えることができる。 そこで、か=化・仮、かた=形・方、かたち=形、という代謝的な認識コンテクストでこの言葉を考察し、あらためて、形・形態・形状・形式・形容などの意味解釈に説得性のある定義感を与えることができる。また、か=化+たち=質の構造体という定義解説も可能である。こうした意味解釈は、形態や形状という形の存在感、その全体像までを表現する言葉として有効である。例えば、形式を単純に、かたちと呼ぶ場合には、決して、視覚的な認識を求めるわけでなく、意識の中ではあたかも外観印象が存在しているという幻想感覚を呼び起こす言葉にすることができる。 デザインにとっては、まさしく、形態や形状という視覚認識の対象物外観の総称であるが、必ずしも、その定義に包括される用語ではない。モノのかたちは視覚的であるが、コトのかたち、そのデザインも、造形、あるいは造形デザインの対象である。よって、デザイン用語としての「かたち」は、造形という創造的な行為によって目に見える、ふれるという実体感から、イメージ可能な観念的な抽象性までを言い表す総合的な用語として、デザインの意味性と関連している。   

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