関係【relation】

  この言葉は、日常語として最も多様に煩雑に使われる。辞書においては、まず哲学述語であり、論理性の照明としては数学述語である。哲学的には、まず自立自存する実体があって、そうした実体同士の間に成立している事項を意味する。そこで、自存実体に対する第二次的な存在という意味での存在があったか、いわゆる実体を「関係の結節」というべきものにすぎないと考えれば、「第一次的な関係」こそ存在であるという、考察対象の意味性が重要であるという認識になっている。 数学的には、ある集合とある集合に関する命題であり、その命題を関係または2項関係と定義している。つまり、関係から真であるかどうか、関係を満たす条件で、反射性や対象性を論理解釈する用語として使われている。 いずれの述語も意味性だけではスタンダードで総括的な定見をいまだに確立していないと考えるべきだろう。したがって、機能関係と論理関係という、関係の分類を区別して定義付けを仮説化できる言葉として考えることが、定見的な定義性になる。 主体と客体の関係が、主体が客体に「因って」ある場合を機能的関係とし、客体に対して、あるいは「依りて」主体の存在があるときを論理関係と考える。「対して・因って・依りて」という相対的な存在論と、認識論が必要であるということになる。関係が重層化されたことを組織あるいはシステムとすれば、「関係は常に一時的存在」と捉えるべきだろう。 いずれにせよ、デザインは、その本質では常に人間や社会や自然との関係作りを目指していることから、デザインを、関係の具現化手法と考えることは順当である。デザインする対象に対して、関係を成立させる方法ということが、人間の行為や人間の欲望との規定の連関という繋がりを生み出すことになる。言い換えるなら、関連作りをさせていくことを決定する創造的な行為として、デザインを関連主義論から定義することが可能であるということになり、相互性という関係を創出することがデザインであるということが可能である。   

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