ライフサイクル【Life cycle】

  生命を意味するLife。このアルファベット「L」は、ヒエログラフやフェニキア文字、ラテン語などでさまざまな変遷を遂げているが、Lから始まる言葉は、その根点に「液体」や「矩尺」などの意味を持ち続けてきた。つまりそこには、流れてしまうものや、測りきれるものという意味があり、LifeやLiveと結び付いていると考えられる。ライフサイクルとは、自然界・人間・組織や物体・物質の寿命という見方ができる。生命を持つもの、あるいは生命観を感じ得るもの全般に、規則的な推移性が必ず存在しているという観念である。とりわけ、人間は、寿命という生から死への1つの世代で完結していると考えられている。つまり、一生という暫定的な変化の中に、生物学的に言うところの加齢、出生・成長・成熟・老衰・死亡の過程に制約された規則的な推移が存在するということである。この推移に年齢的、かつ社会的な立場や人格性や役割等が重なり、さらに個々人の出来事や事件性によって、その各段階をライフステージと予備、区別することもできる。そして、生物や人間の障害やライフステージを、観念的に拡大解釈して、組織や物体、物質、例えば企業や商品などに対しても、ライフサイクルという言葉が直喩的に使われている。ちなみにグッドデザイン賞には、「ロングライフデザイン賞」がある。
 そこで、デザインと密接な関係性がある「商品のライフサイクル」を取り上げてみたい。まず、デザイン設計とされることで、その価値が「商品」、つまり消費対象になる。しかし、消費対象としての価値観の変動が付加されることによって、商品寿命が受動的に決定付けられ、供給メーカーによる能動的な価値観の情報操作によって、消費勾配の価値判断や欲望操作が付加される。こうした受動性や能動性において、少なからず、デザインあるいはデザイン戦略が荷担できる。また、この荷担的な役割こそ、デザイン職能の存在意義であるという認識も生まれ、そうした資本主義の効用と効果の下のみで。デザイン価値やデザイン職能が決定されるということにもなってしまった。しかし、私は、商品のライフサイクルそのもののデザインによって、これまでのこうした慣例的かつ狭義なデザイン職能への評価を変更すべきだと主張したい。

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