ランガージュ(ラングとパロール)【Lamgage(Langue and Parole)】

  言語学者、ソシュールによって言語を定義づけるために生み出された言葉である。言語は、ある民族がコミュニケーションをとるための最大のツールであり、民族文化の大きな資産と言っていいだろう。ソシュールはまず、ランガージュとして、話すこと・聞くことという行為の総体を「言語活動」として捉え直した。しかし、民族の共通言語としての言葉は、一言語集団内でない限り、外部にはその意味内容は複雑である。そこで単一民俗の文化的な資産としてではなく、「言語活動」を総合的な「言語学」として捉えるためには、相反的な二面性から捉え直す必要があると考えた。その結果として、「ラング」「パロール」という二分的かつ統括的な概念、定義を見出すこととなった。まず、ラングとは、「辞書」として、その民族ほとんどがその意味を理解し普遍的に運用できる言葉の体系である。一方のパロールは、いわば「会話」であり、一民族といえども、その中にある集団だけが共有し、その集団以外の者にとっては理解不能な、つまり「会話用語」と言い切ってもかまわない言語である。そして、この会話用語が、民族全体にまで適用するようになれば、やがては「辞書」に収容されてラングとなる。また、ラングの中にある言葉がパロールとして別個の意味を持ち、会話に登場した場合もある。この相互性や相反性を「ランガージュ=ラング+パロール」とソシュールは定義した。そして、この言葉の定義は拡張し、言語学以外にまで適用されるようになっていった。
 例えば、デザインにおけるラング性とは、普遍的で一般的に理解でき得る体系的な形態だと言うことができる。しかし、ある集団の嗜好や価値観でのみ受け止められる形態は、パロール性のある形態となり、そのデザインの背景や思想もパロール的であると言える。したがって、デザインによって新たな形態や機能性を生み出すには、パロール的な思想が不可欠だと考える。けれども「パロール的なデザイン」が、理解されるためには、必ずラング性へと変位していく、ある種のデザイン戦略が必要である。デザイン活動における造形言語にも「ラング」と「パロール」が存在するということである。   

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