エンバイロメント【Environment】

  日本語では「環境」である。元来エンバイロメントは生物学からスタートした術語であった。やがて、社会学や心理学においても使用されるようになった用語である。したがって、日本語での「環境」とやや意味上の差異があると考えるべきである。日本語では、文字通り、何か主体を円環のように取り囲んでいるその境界までという場を意識した言葉である。それはある主体を取り囲んでいる境界までの場の状況を意味している。しかし、英語の場合は、主体を取り巻く周囲の状況、事物、状態や事状すべてをその主体に対するエンバイロメントという。主体に対して環境は客体的な条件であると捉えられるが、環境を主体とすれば、客体としてその主体を成立させている要素や要因の総体として把握することができる。したがって、主体が何であるかということが問題となる場合の用語としての意味が重要となっている。生物が主体である場合は、生物またはその集団の生活にとっての諸条件の均衡の総体を示す。人間が主体である場合は、自然的・物理的環境と社会的・文化的環境に大別して考察する用語となる。主体が、生物であれ人間であれ、主体そのものが環境に影響を与えるとともに、環境に与える影響に適応する能力も備わっている。そこで、問題となるのは 、主体の適応能力を破壊するほど、環境の変化や変質、あるいは環境そのものが破壊されると、環境問題が発生してくる。特に環境問題が社会問題に転化する事態が頻繁化している現代では、環境デザインは、単なる景観設計や建築環境設計など、狭義なデザインではなくて、むしろ社会デザインの一領域となっていくものと考えるべきである。特に最近では、環境デザイナー、あるいは環境デザイン科など、環境を対象としたデザイン領域が注目されている。そこで、最も重視すべきことは、再度、環境の定義とエンバイロメントの翻訳的な差異を検証し直して吟味することだと考える。   

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