エスノメソドロジー【Ethnomethodology】

  現象学的社会学として、米国西海岸でハロルド・ガーフィンケルらによって創始されたミクロ的な社会学。エスノメソドロジーという言葉は、「人間のやり方」ということを意味する造語として登場した。とりわけ、認知と行為という関係での接点で、人々が無自覚的に用いている日常的なやり方というのが、ガーフィンケルらの提唱した定義になっている。つまり、日常生活者が、「現実は本当は何であり」「何が正しく」「何が重要であるのか」というような関心がまったく無いことを、エスノメソドロジー的無関心と呼ぶことで、人々が社会的成員として現実的活動と社会的秩序を実現する対象を取り上げていく。 そのためには、人々が暗黙のうちに共有している常識的なやり方を細部まで記述するドキュメンテーションという手法が研究方法となっている。この手法の構成は、1つは、行動体系の文脈的な状況への依存性、これをインデックス性ドキュメントとし、もう1つは、文脈的な状況への再帰性、相互反映性ドキュメントという2点から、人々の日常的な行動を論理的に捉えていこうという社会学である。そこで、デザインにとっての社会学、という見方をすれば、デザインされたモノやデザインすることの意味性が、人々にとって無関心であることの真意を確認していくためには、エスノメソドロジー的無関心さの検証が、これからのデザイン研究において役立つ学問だと考えることができる。なぜならば、日常的にほとんど暗黙のままに営まれている生活営為に現れている文脈状況への依存性と再帰性を、ドキュメンド的解釈によってより具体的に明らかにするための調査として利用できるからである。人々がデザインをどのように認知し、そのデザイン成果を日常的に持ち込んでいくのかということなどを行動パターンとして説明し、状況全体の総合的な認知として「デザインの事実」の確認が可能である。が、まだこの学問とデザインは接点を見出していない。

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