編集【Editing】

   かつては「編輯」という文字が用いられていた。「輯」は車輪の中心に車副は集まり車輪を構成していることを表していた。これに集めるという意味があったため、「輯」という字が用いられたのである。「編集」という表記になる、第2次大戦後、当用漢字が適用されてからである。
 編集とは、書籍、雑誌、新聞などを刊行する場合の、企画から原稿準備、整理、割付、校正、装丁までの一連の作業を意味していた。その後、メディアとしての表現手法、あるいは媒体に適合させるための一定の形式化や、伝達素材の整序や配列作業に止まらず、媒体そのものの表現意図や主意主張という理念に至るまでを含めて編集であると考えられるようになった。編集が職能となっていくのは、日本では明治以後、近代的な出版が成立してからである。『中央公論』の主幹であった滝田樗陰が編集者の先駆者といわれている。やがて、著作者と編集者の関係は近代ジャーナリズムの発展によって、その職能分担が明確となっていった。
 編集工学、あるいは編集学の体系化は、情報化社会の進展によって、知の編集、知の情報編集学へ向かっていると展望できる。編集者(エディター)、さらに、メディアのプロデューサーが一体になって、エデューサーと呼ばれるような職能までが登場していることだ。そして、編集とデザインとのコラボレーションの進展によって、デザイナーはこの職能へと変貌していくことも可能である。
 私は、「編集学」を構成する学問において、情報学と計画学が最も学際的に隣接していると考えているが、編集学を始点を変えて見つめ直してみると、実は、デザイン手法と近接している。なぜなら、メディアをデザイン対象としたとき、その媒体形式と表現内容、コンテンツ、インデックス、さらにはコンテクストに至るすべてが、デザインの範疇に含まれるからである。   

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