ヘルスケア【Healthcare】

  一般的には、そのまま「健康管理」を意味するが、改めて健康について定義、そのうえでの管理という範疇で、この言葉を定義しておく必要がある。世界保健機関憲章では、その前文で「健康とは、完全な肉体的、精神的および社会的福祉の状態であり、単に疾病または病弱の存在しないことではない」と定義している。さらに、「到達し得る最高水準の健康を保有することは(中略)万人が有する基本的権利の1つである」というように、健康権にまで言及している。そのうえで「各国政府は自国民の健康に関して責任を有する」と言うのが世界的規範と日常的な健康概念、そして健康保全、保険実践すべてがヘルスケアであると定義できる。
 ただし、この定義は3つの側面で保持されなければならない。1つは、もちろん医学的な支援による健康保全と健康管理である。次に、社会制度あるいは社会環境下や国家政策における健康権の保障である。そして、最後が、個々人や人間関係における健康互助保全である。個人の問題や意識を超越したところでの権利と管理による、実践的なケアシステムの対象に健康があると言うことが出来る。つまり、メディカルケア、ヘルスケア、ライフケアという個人的、あるいは社会的なシステムによって、健康管理が実践されていくべきである。ただし注意を要するのは、病気や死への恐怖を除くための方策として、何らかのケアシステムを社会的・制度的な権利として主張する場合である。なぜなら、こうした主張は不健康な精神構造から生じた幻想であることが多いからだ。健康管理とは、生きることへの知恵とその実践のためのシステムであり、持続的な物である。これが健康管理、つまりヘルスケアにたいする最適な定義であると考える。
 デザインにとっても、ヘルスケアを支援することは大変に重大な使命である。しかし、これまでのデザインは、この領域に対しての知見が乏しかった。まさしく、デザイン による医療支援から政策での制度設計、さらには生活上での保健に関するデザインは、ヒューマンセンターデザインであり、その最終目標に、インクルーシブデザインによる デザイン領域の拡大と進展を目標さなければならないと考える。   

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