パフォーマンス【Performance】

  多領域にわたる言葉で、「実行」「遂行」「性能」「実績」「演奏」「演技」「挙行」など、広範な意味がある。しかし、これらの意味とは異なり、既存の価値観を破壊するような芸術的行動や社会的営為までを指す幅広い概念用語となっている。特に、パフォーミング・アートはその代表例である。これは舞台芸術や上演芸術、舞台演技とは区別され、それらをさらに超越したハプニングやイベントなどを含蓄したアートとなっている。芸術性や宗教性、さらには政治的な営為まで、一回性や偶然性までを尊重した、いわば作品=オブジェとなる「行動」のすべてを指し示す言葉となっている。こうした傾向は、ビデオ技術の出現により、媒体的な記録が可能になったことで加速された。その結果、脱領域的な行動を企図するような、極端な行動表現までに派生するようになり、生命を賭けたパフォーマンスまでがアート的な表現として出現した。これは1910年代の未来派やダダがそうであったように、反体制芸術運動的なパフォーマンス形式が多様に派生していくことと繋がっている。 今後この多様さは、さまざまな肉体表現や身体的露出の記録などにおいて、コンピュータテクノロジーを駆使した新しいパフォーマンスに収束するだろう。しかし、これは逆に多様性が失やれて一元化する傾向になっていくものと判断できる。つまり、電子テクノロジーによって身体環境が包囲されるなかでは、身体的な一回性や偶然性がプログラミングされてしまうわけだ。こうした状況下では、パフォーマンスヘの、いわば観客的な興味や期待感が低減することは否めない。そこで、デザインによるパフォーマンス、あるいはパフォーマンスというデザインという観点から、一回性や偶然性を超越した、新たなコミュニケーション形式となるパフォーマンスを復活することができるのではないだろうか。それはなおかつ、パフォーマンスという脱領域的な身体表現を再活性化できるのではないかと考える。とりわけ、コンピュータネットワークテクノロジーを運用することで、さらに革新的な、あるいは柔らかで安全な平和的世界革命を目指す、芸術的な手法を取り込んだデザインという可能性を、パフォーマンスという営為に組み込んでいけるのではないかと考える。   

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