アルゴリズム【algorithm】

  最初のアルゴリズムは、紀元前3世紀に、2つの自然数の最大公約数を求めたユークリッドの互除法だといわれている。いわゆる数学での方程式の解法、行列式の計算、円周率の計算という数学的な解法・算法を原意としている。つまり、現実と理論とのギャップとしての問題に解答を求めていく手続きや手法を意味している。したがって、ソフトウェアとは簡単に言えばアルゴリズムそのものと考えることができる。
 デザイン手法でのアルゴリズムというのは、デザインそのものが問題解決という手法であるために、「アルゴリズムとしてのデザイン」「デザインとしてのアルゴリズム」という手法の選別を考えていくことができるのではないかと思う。つまり、提示された問題が無理難題であれば、解法をデザインすることで、何とか解いていく、という困難さの証明手続きをデザイン手法とすることができる。さらにデザインによる解答の正当性を証明するためには、デザイン手法そのものが説得性や納得性を十分に保持していなければならない。
 デザインとアルゴリズムの関係は、手法としては近似していると考えることができる。が、常に手法の正当性を、あたかも方程式的な手続き論に終始すれば、それは、一般解を得るには便利であっても、特殊解に至ることはきわめて困難である。そこで、無理難題というテーマに対してのデザインの最初の手続きは、アルゴリズムとしてのデザイン導入が重要である。そのときに、考慮しておくべき手法論を解法とするなら、近似したデザイン解答になっているのか、確率として納得でき得るデザイン解答を導き出すことができるのかということである。デザインは、現実的な問題に対して、理論的に解答が求められる手法では決してあり得ない。理論的な解答であるかどうかは、デザインによって最適解が認知されたときでしかないわけだ。むしろ、解答を求めていくことに意味があるとき、デザインはアルゴリズムと同根である。   

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