グッドデザイン【Good Design】

  デザインの優れたものという意味である。言葉そのままに「良いデザイン」ということである。これはデザイン評価の判断結果を意図した言葉として使用される。したがって、デザイン成果を褒賞する評価語であり、デザイン振興のための制度用語として運用されてきた。 評価としての「良さ」は、デザインの本質性と社会性との関わりを最も意識的かつ制度的に認証する用語にするために、主観的な価値基準よりも客観的な価値基準が必要とされる。この客観的な評価として用語化されることで、デザインの社会貢献的な意味性を充実させることができる。よって、デザインにとっては、その本質での価値観は常に、グッドなデザインであることが要請され、要求されてきている。にもかかわらず、あらためて制度としての選定基準を設けることで、その審査によって、選定と認証、さらには褒賞するためには、選定基準そのものが、デザイン価値の良さや優良性、その内容を項目化していることに繋がっている。 一般的には、審美性・機能性・合目的性が統合化されているデザインをグッドデザインと定義づける。我が国では、「美しいデザインであるか」「優れたデザインであるか」「未来を築くデザインであるか」という評価項目を主項目として制度化された選定判断で決定される。当然ながら、美しいデザインであるか、すなわちデザインの審美性については、極めて主観的であり、デザイン美学の集大成が求められている。が、グッドデザインにおける美しさの定義は、デザインによる美とは何かということを常にデザインそのものに突きつけている問題である。結局、グッドデザインは、仮説的な評価基準に基づいた客観的な判断をよりどころにすることで、デザイン価値がその本質そのものにおいて、社会的かつ時代的に共有され得る美的判断による美学性を問いつめていく目標設定として、グッドデザインという問題を内包していると考えることができる。   

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