クオリティー【quality】

  訳語としては「質」を意味する。この単純明快さを再確認しておかなくてはならない。質とは、価値・価値性・価値観、つまり、決定性・論議性・思考感覚性をあらゆる方向からの評価や判断によって、その内容や内実を徹底して確認する性能の程度のことである。この程度というのは、性能の効果、その満足性や説得性を裏付ける望ましさや好ましさを意味している。ただし、これは訳語としての意味であり、訳語の全体的な意味性から欠落している価値判断に、クオリティの真意があると考える必要があるだろう。それは、全体的な価値として、満足的な性能をあらゆる部分的な判断基準を意識化させる方向性があると考えられるからである。 例えば、クオリティ・オブ・ライフや、クオリティ・オブ・エクスペリエンスなど、改めて、質の内容の所在性を確認する言葉としての恣意性を保持していることである。質の所在性や効用や性能、あるいは可能性までの判断基準の方向性を指示している。こうした指示された意味性は、訳語である「質」では語りきることができない。いわば、恣意性や意味性が、訳語からは抜け落ちてしまっているといわざるをえない。 とりわけ、デザインの価値、価値性や価値観で、この言葉を、デザイン成果やデザインの表現内容の批評軸にすれば、デザインされたことや、デザインの効用価値そのものを確かめるキーワードやコンセプト評価項目にすることができるというわけだ。結局、デザインにとって、この言葉の意味は、二重性=ダブルバインドを持っていると断定することができる。まず、デザインすることの目標設定において、デザインされたことの説得性や納得性を決定づけていく最適性を恣意的に測定することになる。そうした基準価値の所在性をこの言葉自体が保有しているということである。   

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