民主化【Democratization】

  第一次世界大戦後、政治において市民生活でのあらゆる制度とその普遍性を正当化し、制度運営の評価を公準化する理念、思想および哲学が「民主主義」である。民主主義の世界的な公認、あるいは普遍化が、現在では全人類のコンセンサスであることは間違いない。しかし、民主主義の具体的な内容やその合意に関しては国家間や民族間で差がある。「民主化」を謳う先進国家の主張と後進国家の政治理念の多様性が重層することで、民主主義そのものが混乱していると指摘せざるを得ない。その理由として次の3つをあげることができるだろう。第一に、民衆あるいは人民に対する認識が、経済的な先進国家と後進国家で大きな隔たりがあるということである。これはすなわち、近代における民主主義の進展が、はからずも先進国家が第三世界を従属させることで成立してきたことに起因している。この限界を打破するには、世界の構成員である全ての人々の合意をどう構造化できるかということにかかっている。
 第二に、その合意を確立するための方法論の問題である。現在では2つの方法が考えられている。同質的な小社会集団での直接民主主義と、代議制による間接民主主義である。しかし後者では、そこに含まれないその他構成員の自己権力の行使と参画の方法が全く見つかっていないという問題がある。
 第三に、自由・平等・平和・友愛・非差別という理念の解釈の違いにより、民主化の目標が分断し始めているということである。はたして現在では、官僚や政治家、マスコミによる民衆や人民への情報操作や意識操作などをはじめ、特に経済性や宗教性によるコントロールが大衆社会に強く働いている。そうした現実問題を踏まえて、民主化、および民主主義の再検証が必要である。そして、この再考において、「デザイン」という手法とその表現が大きな役割を果たすものと私は確信している。

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