装飾【Ornamentation】

  面的な部位、それは人為的なものから、自然物、さらには人体の部分や皮膚面、あるいは一定の広い空間に、人為的な加工によって、視覚的、触覚的に、美的な快感を起こさせるような成果を示す言葉である。器物や武具、図書、建築、船舶など、加工が施されるものによって、その成果の呼称法は異なっている。例えば、図書では装丁と呼ばれる。建築装飾では中性写本の装飾絵画からイルミネーションと呼ばれる。人間の 皮膚に施される場合、それは民族の風習や制度によって、入れ墨、つけぼくろ、あるいは彫り物などと呼ばれている。また、人体の部分に付ける髪飾りや、衣服そのものに取り付ける装身具は、装飾そのものの成果物ということができる。それゆえに、服飾という語に含められている。 広い空間に対しては、室内装飾、劇場での舞台装飾、ショーウィンドウでの店舗装飾、庭園装飾、都市における街路装飾など、空間の美化形式に装飾を付加して呼んでいる。こうした装飾には、2つの要件が満たされる必要がある。まず、装飾される主体に対して常に安定した形状を持っていなければならない。だから、装飾として描かれた絵は、措かれた面に収まっている必要がある。さらに、主体に対して、功利的あるいは特質的に調和していなければならない。つまり、その装飾によって、主体本体の機能性が揖なわれる表現成果であってはならないということである。また、装飾された主体との功利性との調和が美的快感であるだけではなく、装飾自体の目的が意味や機能を持つこともある。例えば、店舗装飾は客の誘導や商品の宣伝という目的を持っている。このように装飾そのものに意味を込めることから、デザインの訳語の1つに、「装飾」が相当されて使われることがある。しかし、機能性そのものを装飾で訴求するのではなく、あくまでも装飾される主体のあり方がデザインの対象であることから、デザインと装飾の区別はより明確にする必要があると考える。   

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