システム【system】

  対象がさまざまな部分によって結合し、構成し、構造化されている全体を認識するとき、その全体や体系に対する認識をシステムと定義する。部分は一般的には要素と呼ぶ。システムは、ギリシアの「sys=共に」と「histanai=奥」の合成語systemaに由来している。古代ギリシア哲学に遡れば、アリストテレスは、「全体は部分の寄せ集め以上の存在である」と述べたが、この認識は近代科学、特に物理学のさまざまな成果、つまり部分的な発見や理論化が相次ぐ中で忘れられていた。しかし、要素的な見方を体系から見つめ直すという機運が科学全体に見られるようになって以来、システム的な思考法は、科学の中心的かつ重要な概念の考察方法として確立された。 このように、いわゆる体系や組織全体をシステムとして認識するとき、ある1つのシステムをさらにより大きなシステムの1つの要素として捉えれば、対象は階層構造を持つシステムとして認識することができる。したがって、それぞれの要素の属性、つまり要素の間の結合関係や相互関係によって、システムの性能や機能の属性が決定されていくのである。この要素の属性と結合の属性の組み合わせを「システム構造」と定義することができる。 デザインは、まさにシステム構造的な要素の表現やその要素を有機的に組み立てることで、体系的あるいは結合的な属性を決定する具体化の手法である。体系としてデザインをとらえれば、知識の総和的かつ組織的な表現としてのデザインシステムという言い方が可能になる。体系知の表現を要素としてとらえ、そうした階層的な表現をさらに体系づけることで、断片的な表現であっても、感覚的に全体への認識を誘発し、システムとしてのデザインを十分に予測させることができる。そして、それは知的な判断や評価を可能にさせる要因になる。なぜなら、要素の表現によって、要因的な体系へと繋がるパラメータとなる。そのパラメータが感覚としての知的な認識を呼び起こすことになるからだ。 システムとしてのデザイン、デザインとしてのシステムという発想がデザイナーには求められているのである。

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