コンセプト【concept】

  哲学的な意味としては「概念」を表す。この訳語としての意味を整理すれば、人間が対象物を、それが個体であれ複数の個物であれ、包括的かつ総合的に把握する心象的なイメージを表す。しかし、単なる心理的なイメージとは違って、対象を論理的に整理する用語である。つまり、判断の根拠となる構成要素を名辞的に表現し、共有できる心象性や論理性を一言で表すことが必要となる。概念だけでなく、観念、思念、想念なども同義語として、総括する言葉になっている。そこで、一言で対象物を指し示すようにすることが、コンセプト作りとなる。 デザインにおいては、歴史的に、コンセプトはそのままアイデア、発想を総括的に表す言葉として使われてきた。つまり、物事の表層的な面から深層にある意味性までをアイデアとして共有するための基軸となる意味を持ち、さらには観念的な意味までも包括するモノである。言い換えれば、計画やプロジェクトにおける命題や共同目標を確認していくためのキーワードにもなっている。コンセプトがいったん共有されれば、それは単純に概念にとどまらず、観念や幻想までを共有できる。つまりコンセプトは、命題・テーマ・キーワードとして、計画進行や運営における考え方の原点・中軸となる意味性を持つことが求められる。 コンセプト作りは、特にデザインにおいては、極めて常套的な手法であり手段になっている。コンセプトはデザインする上で、デザイン対象物のアイデアから、デザイン効果までを内包し、外延としては社会や時代との関係性までが吟味された一言であってほしい。つまり、普遍的な概念を提案するための用語を越えた意味性を、デザインそのものが提示していくことになる。言うなれば、デザインはコンセプトそのものを創作する行為であるということにもなる。   

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