構造主義【structuralism】

  構造主義を説明するための鍵となる概念の「構造」と「システム(体系)」は、概念用語としては古く、多義的な意味を持つ。構造主義とは、構造体と体系という概念の組み合わせで、「体系化された構造」ではなく、「構造化された体系」に基づいて対象を説明しようという態度である。一般的に、体系化された構造は、全体を構成する部分である個々の総和的な実在性全体を意味してはいない。むしろ、1つの要素の変化が直ちに他の諸要素や全体に影響を及ぼしてしまう、統合的な諸関係の総体が構造化された体系と理解するべきだろう。したがって、このような構造主義における構造概念という見方をすれば、体系化のための構造となる諸要素を概念的に捉えることの重要性が明確になる。 つまり、構造とは、事物の自然的、あるいは具体的な関係ではなく、事物が他から区別される差異によって、出現する関係の体系であり、それは、人間にとっては歴史的さらには社会的な実践や経験によって無意識に形成されている概念にすぎないとさえ言える。特に、言語論的な意識や意思の表明、または、経験的な事象として社会関係、人間の無意識ながら文化の規則性となっているコミュニケーション形式までを、構造論または構造主義的な議論において、主観性と客観性の両方を持ち、批判することができる哲学的な立場であると考えられる。 デザインにとっては、社会構造の中で「体系化」される事物や、コミュニケーション手法での構造とその体系は、構造主義におけるそれらの評価が、デザイン対象となっている事物の構造や体系のデザイン評価に密接に連関している。最もそのことを印象づけるには、デザイン対象が、社会システムの中でとりわけシンボルとして、どのように認知・理解され、または無意識に受け入れられるのかを探求していく、デザイン手法の根底的な思考方法が求められる。特に、造形原語としてのデザイン提示は、構造主義的な批判や評価によって、デザインの意味性をより明確にし、社会システム、あるいは無意識的な社会制度にまでデザインの効用と効果を意図するという、デザイン戦略としての思考の方法論になるといえるだろう。   

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