ルール【Rule】

  一般的には規則や従属すべき約束事で、社会的な「きまり」である。詳細な定義をすれば、ある行為に対して、それを容認する指示や仕方を意味する。社会生活やスポーツでのルールではたとえ特殊な行為であっても、それが容認されるには、集団全体としての容認指示として確約されている事が必要条件となる。ルールのなかに、特殊な行為に対する仕方の指示という内容がともなうのであれば、行為の内容は、その社会的な容認性において判断と評価が下されることになる。しかし、ルールと行為者本人の見解が全く異なる場合は、規則違反、ルール無視になるのは当然である。例えば、交通ルールは交通領域においての道路での運行行為を明確に指示しているわけであり、交通違反はそのルールの無視である。このルールと社会性について深く洞察したのはウィトゲンシュタインであると言ってもいいだろう。彼の考察は、端的に言えば、「ルールとは、行為者当人の見解が正当化されること、社会的な賛同によって容認や認可される条件の限定である」ということである。つまり、ルールとは、その指示内容を主観性と客観性の両方で主題化された行為であるという定義だと考えることができる。
アートの領域では、アーティストが社会に対する”ルール違反”を行為として提示することが、アート表現の主題になり、これは歴史的にも相当数存在してきた。デザインにとっても、通念的な常識性というルールへの対抗が、表現となり、デザインそのものになり得る。しかし、ウィトゲンシュタイン的な解釈によって、客観性とともに、その行為者の主観性を主題化すれば、ルールへの対抗や破壊においても、改めてルールの創造が求められるべきであり、ルールに対する態度そのものが、さらにルールとして生成されるという二重構造性を理解しておくべきだと考える。   

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