無限【Infinity】

  有限の対概念であり、一般的には限り、限度、限定などがいっさいないことを意味している。哲学と数学における「無限論」という学術的な定義をもって、歴史的に構築されてきた言葉である。無言論には、一般的に理想的無限論と現実的無限論と、2つのこれも対となる概念がある。理想的無限論とは、可能性が無限であるというように、無限を限りない増大・減少の過程として思考するという立場である。現実的無限論とは、有限を超越して完結してしまっている実在性を意味している。この両方の考え方を見事に表現しているのが、古代ギリシアのアリストテレスの著書『自然学』における言葉である。「けだし無限なものというのは、それより外になにものも存在しないそれのことではなくて、かえってそれより外に常に何ものかが存在するところのそれ、それが無限なものである」(『アリストテレス全集6』岩波書店 1968)。この定義は、特に近代から現代にかけての無限ということへの否定的な見方へ繋がると考えることができる。例えば、すでに数学においては、無限大に対する収束という概念が対応している。さらに、自然からの恵みは無限であるという考え方は、ほとんどすべてが1970年ローマ会議によって否定された。地球の自然が無限ではあり得ないという思考や哲学にまで至っているのが現実である。
 デザインには無限の力、あるいは無限の可能性があるのかを自問しなければならないだろう。私は、人間が有限な時間のなかにその存在を持っているからこそ、無限の可能性の思想表現を目指そうとするものであり、そこにデザインの本質があると確信している。デザインは無限の力を持っているといっても過言ではないということである。デザインという理想の大きさと、その無限の可能性に対する信頼があるということである。つまり、生きている人間の発想・表現・伝達という過程には、決して限りはなく、限定のないものであると主張しておきたい。これは、デザインの絶対性を確信するということを意味している。   

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