タイポグラフィ【Typography】

  文字は、情報を伝達する視覚的表現の最も基本的な要素である。その文字表現をさらに的確に、かつ美しく表現することが、デザインの対象であるとともに、デザインの技法・手法としてグラフィック性が求められる。タイポグラフィの原義は、活版印刷の表現から技術までを総林するものであったしかし、印刷技術の進歩により、金属活字の時代は終わり、組版技術もすでに過去のものとなっている。そこでタイポグラフィとは、こうした印刷技術における文字表現というよりは、特に文字表現のグラフィカルな形式そのものを意味するようになった。つまり、文字の選択や、大きさの決定、そしてその配置など、「文字構成の組み方」によって、全体的なレイアウトのグラフィック性を意味するのがタイポグラフィである。 また、文字を主体にした情報表現は、今日では印刷に限定されていない。一般的に出版物は、すでにDTPなど、コンピュータ運用によって簡便になっている。さらに、印刷物に限らず、ホームページなどネットワークによる配信物まで、文字を中心とした情報表現も格段に拡大している。ハイパーテキストやPDF(Portable Document Format)などの、文字レイアウトに代表される表現形式までが、タイポグラフィの対象になっている。 このように、従来は印刷技術での文字構成を基本としたタイポグラフィも、今や「文字の視覚的なデザイン構成」という意味になっている。今までのように、文字を中心とした視覚的な構成だけではなくて、文字がモーション性やハイパーテキスト性を有するレイアウトまでもが、現代におけるタイポグラフィとなってきた。つまり、これまでのような静的な表現や情報が平面的に定着した表現から、立体的かつ動的な表現形式が求められており、視覚的な文字だけに止まらず、認知的な表現技法までが、これからのタイポグラフィの課題になっていくと考えることができる。   

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