生産【production】

  一般的には、物的・人的な環境を生活の文明的かつ文化的なものにしていくための、資料を生み出す活動を、総合的に生産と呼ぶ。この場合の資料とは、単なる有形の物材だけでなく、無形の用役も含む。いわゆるサービス、例えば、交通、医療、娯楽、教育までが対象である。こうしたサービスにおいて、交換や取引の対象となる財・サービスを生み出す活動までを、経済学的には生産と定義している。生産によって生み出されたものは、流通の経路に持ち込まれるまでは、製品、あるいは物産品と呼ばれる。 生活の根本として、生命を維持し、生活社会を営んでいくためには、人間は生産活動に従事しなければならない。しかし、当然ながらこの営為には、自然界での資源を採取し、その加工や変形を施す技術過程を含む。この技術過程の改良や改変、さらには格段の進歩によって、生産力の発展を目指してきた。これが人間の生産への知的な関与であった。特に、化学や技術を生産に応用したり、支援することで、とりわけ物的な生産力を高度化させてきた。 また、生産のための技術性だけでなく、生産を人為的に、かつ組織化することによって、生産力を高めるという歴史的な組織生産は、そのまま社会的な経済制度に連関する。それは、生産と消費の構造での経済配分であり、その配分において、国家あるいは社会の政治体制は、すべからく生産のあり方や社会構造と連鎖している。そして現在、生産資材の状態から、消費、廃棄の段階にわたって、生活環境を成立させている地球環境の破壊という事態に至っている。 そこで改めて、生産はその改革を世界的に進めていかなければならない。デザインと生産の問題は、生産というこれまでの歴史性やその文脈にある時代は終わった。これからの生産の体系やその制度を根本的なデザイン課題にしていく時代にあることを認識することが重要である。   

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